Works in England

イギリスでの作業

その人生でどれだけ優れた本物の職人と出会えるかということが、その職人の人生を決定づける。

一般には、技術というものは個人の中にあるということは歴然とした事実である。技術の本質というものが、会社や学校や家系ではなく、一個の人間の中にしか存在しえないものである。

もちろん特定の環境に技術は伝承されてゆくが、ただ単に看板だけのことも多々あるのも事実ではある。

何代続いていると語っても、まったく伝統の知恵や技術を持たない人も多く存在する。

本当の技術を学ぶことは、実は難しいことだ。教育、伝統の継承を謳いながら、ただ単に利益のためだけに人を集めている学校や塾があることも事実だだから。優れた人と出会えるかどうかは、運命なのかもしれない。

思えばあれから20年近くなる。当時ですら伝統は崩壊寸前だったが、あれからふた昔、ほぼ完全に伝統は崩壊してしまったかにみえる。

もちろんこれは世界的な状況だから、日本だけが例外と言う訳には、いかないだろうが。

優れた職人やその仕事、またその使い手と出会ことは、このつまらない世の中での数少ない喜びではあった。しかし、それも年々なくなりつつある。ますます、つまらない世の中になってゆく。