Wooden boat

製ヨットの製造

今日木造船、特に和船に関して、多く本当の仕事を学んだ事も経験したこともない人や功名心からいい加減が流布されていることも多い。

現在、日本で造られている木製のヨット、ボートは、そのほとんどが近代工法で造られている。近代的な方法で船を造ることは悪いことではない。短期間で比較的安価で技術的な差異が出にくい。

ただ残念なのは、その製造方法をみていると、多くが、造船技術の基盤を持たないまま造られているようにみえる。伝統的な技術の基盤の無いものは船としての完成度が低いように思う。

かつて、英国においては、例え将来簡素な近代工法で船を造るにしても、まず、伝統的な造船の基本技術を学ぶべきであるとした教育や伝統があった。

近年その性能が向上している接着剤や塗料に頼って製造する事は悪いことではないと思うが、船を造るには最低限の造船技術を持つべきだろうと思う。それが、職人としての最低の誠実であるように思う。

美しい木の船を造りたいと思って、イギリスで学んだが、残念だが今、この国においては、優れた美意識や伝統を築いていくことは難しいのかもしれないと思っている。

テレビや雑誌で語られる立派な言葉が、立派な仕事を意味している訳ではない事に思い至らないほどこの国は荒廃してしまったのだろう。

今日、技術も伝統も持たない者ほど、大きな声で匠を自称し伝統技術の継承などを騙り、悪貨は良貨を駆逐する。そしていずれ悪貨が本物と称されるようにはなってゆくのは残念ではある。

久し振りに図面を書くために製図板を作業場に下ろした。

テムズスキッフと新しいギターの図面。

テムズスキッフは木船として最も美しいと思う船の一つだ。

クリンカー張りの故郷である北欧の流れを汲む線形と構造である。

一般にステムが真っ直ぐに立ち上がったノーフォークディンギーのようなイングランドの形ではない。 日本では某ヨットデザイナーによって、いい加減な情報が撒き散らされているので、多く誤解されている事がある。

魚型文鎮数種。

木のバテン用である。木のバテンは作り方や使い方には伝統の技法がある。

格好だけでは作れないし、使いこなせない。